ここ数ヶ月で、胸が大きくなってきた。

ホルモン注射を打ったり、同等の効果があるらしい薬を飲んだりしてきたことはこれまでにもあったのだが、自分でも衝撃を受けるほどでもなかった。

初めてホルモン注射をしたとき、数日後に乳頭が服に擦れて痛みを感じるという経験を行い、それにはドキドキしたと思う。

それからは、ブラをつけることが必要だと感じながらも、ほとんど平らなせいで適したブラがなかなか見つからず、かと言ってなかなか相談できない質だったのもあり、結局たどり着いたのは小中学生向けのカップやパッドがないブラ。スポーツブラとか呼ばれるもの。イオンで買った。

胸を大きく見せてパス度を上げていく、みたいなことを考えてはいなかったので、小中学生向けで販売されていることに対する気恥ずかしさ以外は、意外と使いやすい。いや、肩から見えるとき、少々ダサいというのもあった。

それから、徐々にダサいことやパス度が気になり、それらを考えて下着を買っていた時期がある。おしゃれ、かわいさよりもパス度重視だったので、特段好きでもないレースがついているものや花柄等の下着を買っていた。パス度を解消できればほぼ何でもよかったので、平らな胸にもなんとかフィットする、できる限り安いもの、という気持ちで探していると、行き着いた先はtutuanna。上下セットでも種類を選ばなければ安く、さらにセール品を狙い、とにかくここはお金をかける部分ではないな、と意気込みながら商品を見つめていたと思う。アリオが懐かしい。

しかし、今は結局イオンで買ったスポーツブラを再び着用している。色々面倒になってきたのと、家族に向けて明確にカミングアウトしておらずブラの使用が憚られる状況にある、という事情によるもの。それなのにどんどんprettyになっていく私の厚かましさ、見習ってほしい。というのは大嘘、勘付かれてるし、ブラを家族共用の洗濯カゴへ入れてしまったせいで普通に母にはバレたし、むしろ厚かましいせいで気まずい距離感生まれてる。割と気まずい。実家暮らし早いうちに辞めたい。

その話はさておき、スポーツブラを着用して過ごせているということは、思いきり胸が大きくなったわけではないとも言えるが、明らかに膨らんでいる胸になった。特に乳輪、乳頭がみるみる大きくなったように感じる。

2月よりホルモン注射を自分で打つようになり、それに男性ホルモンを抑える飲み薬を服用する生活になってからである。今までもホルモン注射を打っていた経験があることから、男性ホルモンを抑える飲み薬が強い影響を与えたのではないだろうかと考える。ただし、その飲み薬は個人輸入通販で購入したものであるため、自己責任による使用ではあるが。

そして、この胸が大きくなっている事実に、少しばかり戸惑いを覚えている。少なくとも20年以上は平らな胸を見続けて生きてきた私であるため、今の身体に違和感がないとは言えないと思う。胸の大きな女性に憧れているわけでもなく、ホルモン注射を始めてもそれほど膨らまなかった胸に残念がることもなく、私の身体としてしっくりきていた心地もあった気がする。一方で、私の膨らんだ胸を優しく掴むと、それは私のものだと実感し、愛しく思えるときもある。

この、自分の身体が不意に変わっていくことに対し、みんなはどのように思っていたのかが気になった。第二次性徴を体感したときはどのような気持ちだったか。それは私の今の経験と重なる部分があるだろうか。今の身体を受け止められているのか。

……という話を、本当ならば中学生ぐらいのときから気軽に話せていたらよかったなと思い返す。身体のことを、カジュアルに、愚痴っぽく言いたかった気がする。もう25歳、と言い聞かせてしまう場面がすごく増えてきており、最初に述べた通り私は相談できない質であるのも相まって、結局はこうやって書き連ねてしまうのだけれど。まだまだ弱気。